100代からの筋力トレーニング:フィンランドで実践される高齢者の運動プログラム

フィンランド・セイナヨキにあるキヴィプロ・サービスセンターでは、年齢の概念を塗り替えるユニークなジムグループが活動しています。

グループの平均年齢はおよそ100歳。週に3回、4人の男性が理学療法士の指導のもと、ストレッチやバランス運動、筋力トレーニングを組み合わせたサーキットトレーニングに取り組んでいます。自分たちのグループを「100代のトレーニングサークル」と呼び、継続的に体を動かすことを心がけています。

「健康を維持し、今の自分のコンディションを保つことが大切です」とメンバーの一人。

MTVニュース・フィンランドや新聞『イルッカ=ポホヤライネン』で最初に紹介されて以来、彼らの活動は全国の人々に注目され、一歩ずつ、ストレッチや運動を積み重ねることで健康が維持されることを改めて示しています。

MTVニュース・フィンランドの取材で、理学療法士のヤンネ・マキ=ユッピラさんは100代のジムグループについて、そして年齢に関わらず運動を続ける重要性について語りました。

長寿と活力の象徴

このグループでは、年齢を重ねても運動を楽しみ、日常生活でも体をしっかり動かしている様子が見られます。年を重ねても前向きに体を動かす姿勢は、支え合うコミュニティや専門家の指導、定期的な運動によって、健康を長く維持できることを伝えています。

「100代のトレーニングサークル」は、高齢者ケアやリハビリ、健康づくりに関わる専門家にとって、安全で楽しく、年齢に合わせた運動プログラムの参考になるモデルです。

さらに、定期的な運動は認知症や心臓病、特定のがんのリスクを減らすだけでなく、運動能力や精神的健康を支える効果もあります。フィンランドの高齢化対策は、人々ができる限り長く自立した生活を送れるよう支援することに重点を置いており、このサークルはその取り組みの具体例のひとつです

週に3回、4人の男性が理学療法士の指導のもと、ストレッチやバランス運動、筋力トレーニングを組み合わせたサーキットトレーニングに取り組んでいます。

人生100年、元気に体を動かす:フィンランド最年長ジムグループの取り組み

このグループには、ヴィルヨ・タカロさん(100歳)、マルッティ・ライティラさん(100歳)、アルノ・アルホさん(102歳)、タピオ・ラッシラさん(103歳)が所属しており、キヴィプロコミュニティの長年のメンバーとして、運動と健康への取り組みで周囲に元気を与えています。トレーニングは、理学療法士のヤンネ・マキ=ユッピラさんとヴィルピ・ニエミさんの指導のもと、ユーモアを交えながら、メンバー同士が支え合い、成果を感じられる雰囲気で行われています。

「ちょっと簡単すぎるかな?もう少し負荷を足してみる?」と理学療法士のニエミさんは笑顔で呼びかけます。

数年前に趣味として始まったジムグループは、メンバー最年少のタカロさんが100歳の誕生日を迎えたことをきっかけに、公式に「100代のトレーニングサークル」となりました。

「このジムグループは活動を始めて5年になります。昨年、メンバー全員が100歳になったことを受けて、このグループに参加できるのは最低100歳にしようか、と話していたんです。」と、マキ=ユッピラさんは笑顔で話します。

参加者は集中力と意欲をもってトレーニングに取り組んでいます。HURの筋力トレーニング機器をはじめ、チェアエクササイズや屋外での活動を組み合わせ、筋力やバランス、そして自立した生活を維持することに重点を置いています。理学療法士のヴィルピ・ニエミさんは、次のように説明します。

「運動には、精神面を整え、身体の安定を維持する効果があります。」

MTVニュース・フィンランドの取材で、100歳以上のメンバーたちは、アクティブな生活について語りました。

「前はやり投げをしていて、自分のやりも持ってたんですよ。」と、メンバーのひとり。

「電動自転車で合計1200キロ走りました」と2人目のメンバーも話しています。

「年を重ねても、それが運動の妨げになるわけじゃありません。むしろ、毎日を気持ちよく過ごすために、運動は必要なんです。」と3人目のメンバーは話しています。

キヴィプログループの取り組みは、国内の高齢者ケアにとってとても重要な役割を果たしています。

キヴィプロ高齢者施設:60年間、高齢者の暮らしを支える

60年以上にわたり、キヴィプロは高齢者の健康と暮らしを支える中心的な存在として活動してきました。センターでは約140人の入居者に24時間体制の介護やリハビリ、在宅ケアを提供し、130人の専門スタッフがその運営を支えています。

キヴィプロの「人生をいきいきと」という理念には、日々の生活をより充実させたいという思いが込められています。

1995年以降、キヴィプロはフィンランドの空圧レジスタンストレーニング機器を開発するフィンランドの会社・HURと提携し、高齢者向けの安全で使いやすいトレーニング機器を導入しています。最新のスマートタッチシリーズは、負荷やシートの位置を自動で調整でき、1台で複数の筋肉群を鍛えられるうえ、身体への負担やリスクを最小限に抑えることができます。

「筋力と運動能力の維持は自立した生活に欠かせません。定期的で多様な運動は、年齢を重ねることによる衰えを遅らせ、場合によっては機能回復を促すこともできます。」とマキ=ユッピラさんは説明します。

健康的な高齢化のモデル

キヴィプロ高齢者施設の取り組みでは、構造化された運動を専門家の指導のもとで提供するとともに、コミュニケーションやユーモアを交えながら行うことで、高齢者の運動能力や心の健康の維持に大きく貢献しています。

フィンランドの研究によると、身体活動が少ない高齢者は、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量や筋力の低下で、虚弱や移動能力の低下につながる)のリスクが高まることが分かっています。そのため、健康的に年を重ねるには、積極的に体を動かすことが大切です(Hämäläinen, Tirkkonen, Savikangas, Alén, Sipilä & Hautala, 2024)。

また、栄養や社会参加に加え、高齢者が利用しやすい公共施設や交通、住環境などの整った暮らしやすい環境は、高齢者の身体的・認知的健康を支える重要な要素であり、フィンランドの健康寿命延伸モデルの柱となっています(STM, 2020; WHO, 2020)。

理学療法による専門的なアドバイス

理学療法士のマキ=ユッピラ氏は、高齢者リハビリテーションの分野で25年以上の経験を持ち、キヴィプロの「力強さと自立、尊厳をもって年を重ねる」というビジョンの形成に貢献してきました。

「私たちの目標は、単にケアを提供することではなく、利用者の皆さんに自立した生活を維持してもらうことです。運動は生活に活力を与えます。年齢を重ねても、運動をあきらめる理由にはなりません。むしろ、年齢こそが運動を続ける理由になるのです。」とマキ=ユッピラさんは語ります。

運動を通して身体機能の向上や自信、日常生活での動きやすさを支えることで、キヴィプロは従来のケアの枠を超え、一人ひとりが自分らしく暮らせる自立を育んでいます。献身的なスタッフのサポートにより、長期的な健康に向けた持続可能な取り組みを追求し、人生のどの段階でも力強さやつながり、生活の質を高めていけることを伝えています。

参考資料